9. せみ

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庭のモクレン   庭のクマゼミ   近くの林

 お盆を過ぎて少しおとなしくなってきたとはいえ、今年もセミの大合唱が朝からすごい。庭木で朝早くからせっせと鳴いているのはもっぱらクマゼミ。東京の友人が言うにはクマゼミは殆どおらず、もっぱらミンミンゼミだという。

 本にはクマゼミは午前中だけで午後になるとアブラゼミツクツクボウシだと書いてあるけど、そんなことはない。わが家の庭では一日中、クマゼミが鳴いている。

 ところが近くの林に行くと様子がだいぶ違う。午前中はクマゼミが元気よく鳴いてはいるが、暑さに弱いミンミンゼミの声も聞こえる。夕方の散歩の折には確かにアブラゼミも鳴いているし、ツクツクボウシも声を聞かせてくれる。多様な樹木のあるところには多様な生き物が住んでいる。

 まだ、ヒグラシの声を聞いてない。夕方とはいえ暑すぎるせいだろうか。秋の気配がしてくれば聞けるかも知れないが、何となく寂しい気持ちになることは今から予想がつく。


 

夏キノコ

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箕面の夏キノコ(シロオニタケザラエノハラタケヒイロタケ、ベニナギナタタケ)

 毎週一回、箕面の山を散策している。街中の通りから山に入って20分も登ると野鳥が手にのってエサをねだるという懐の深い山系だ。

 梅雨があけると夏キノコが姿を現す。片道1時間半ほどの山行きで10種類近くのキノコをみることができた。

 調べてみると殆どが毒キノコだけどそれぞれ姿かたちと名前に特徴があって面白い。見えているのは子実体と呼ばれるものでキノコの胞子の格納庫。子実体として姿を現す時期は「キノコの一生」のうちのごく一時期であり、大部分の時期は菌糸の状態で過ごす。マツタケの場合、菌糸は培養できるが、子実体のできる条件が分からないため人工栽培できていない。マイタケやエリンギなどは簡単に子実体ができるから気楽に買うことができる。

 キノコは免疫系にもいい。ナスとキノコの辛みそあえで一杯やりたくなってきた。

 

入道雲

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入道雲

 ようやく夏らしい天気になってきた。散歩の途中、久しぶりに元気のいい入道雲が湧いているのを見ることができた。

 雲は高さの違いによって”わたぐも”などの下層雲、”あまぐも”などの中層雲、”すじぐも”などの高層雲に分けられている。下層雲や中層雲は水滴が霧状になっているが、高層雲は氷の粒だという。

 入道雲は下層で湧いて上昇気流に乗って一気に高層まで上がってゆくので下層雲から高層雲まですべての雲が含まれている。

 入道雲を眺めていると元気が湧いてきて冷えたビールが飲みたくなるのは、このダイナミックな動きのせいだろうか。

 夏は夏らしく、冬は冬らしく。これが一番の景気浮揚策らしい。

アジサイ

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妙見さんのあじさい

 アジサイは雨によく似合う。例年なら梅雨明けとともに咲く花も遷ろう時期だけど、今年はまだアジサイが頑張っている。この写真は3週間ほど前の能勢・妙見さんのロープウエー両脇に並び咲くアジサイ。家人に誘われて行ってみたところ、たくさんのアジサイが優しく迎えてくれた。

 アジサイの青はアントシアンという色素だが、アルミニウムが共存するとその青が鮮やかになるという。咲いてる場所によって青の鮮やかさが少しづつ違っているのは土の性質の違い。土の酸性が強いと青が増す。リトマス試験紙は酸性だと赤、アルカリ性だと青だが、それとは逆。それは土の酸性が増すと土壌のアルミニウムが溶けやすくアジサイに吸収されやすいため。花の色も微妙に土と会話しているのだ。

 今日も朝からしとしと雨が降っているが、歳のせいか最近は雨中の散歩も楽しく感じられようになった。アジサイにももうひと頑張りして貰いたい。

京都・松尾大社

 

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松尾大社の本殿・酒樽・お神酒

 嵐山・松尾大社に参拝した。松尾大社は酒の神様としてよく知られている。祭神はオオヤマクイノカミ。山城の国・松尾に鎮座されたことが古事記に記載されている。当初は、大社の背後にそびえる松尾山の盤座(いわくら)に祀られていた。オオヤマクイノカミは山の地主神であり、治水・開拓・農耕の神様。そして、酒造りは農耕と縁が深いことから、酒造りの神様でもある。

 5世紀になって半島から渡来してきた秦氏一族がこの地に住み、嵐山の保全桂川の治水・周辺地域の開墾を進め、酒造りなどの殖産事業にも力を尽くした。秦一族は松尾の祭神を氏神として尊崇したということだが、この地域が発展するにつれて松尾大社の神徳も評判となっていったのだろう。

 この日は前夜の雨もあがって適度に曇っていて、ときおり頬をなでる風が心地よかった。また、周りの木々の緑も鮮やかで、とくにもみじの緑(青もみじ)は素晴らしく、しかも人もまばらで、絶好の参拝日和。

 普段であれば本殿の脇から松尾山の盤座へ登ることができるのだが、残念ながら昨年9月の台風21号の被害を受けて登攀不可能ということだった。確かに、よく見ると本殿を囲むように位置する山肌の一部は痛められたままの状態だった。

 台風の発生は地球温暖化と無縁ではない。海面の温度が28℃以上になると”台風のたまご”の熱帯性低気圧が発生しやすいという。従来は深層海洋水の温度が低く、海面近くの海水と混じりあうことによって低気圧の発生を未然に防いでいたのが、温暖化の最近はそれが難しくなってきている。

 台風の追い打ちで本殿に何かあったら一大事だ。世界が協力して、早急に温暖化防止の手立てに取り組む必要があろう。この日は、とりあえず松尾大社の祭神に「国の守り神」としての神徳を発揮して戴くことをお願いした。もちろん、「酒の神様」のお神酒も有難く頂戴した。

 昔から、多くの人が似たような願いを繰り返してきたのだろうと思いつつ大社を後にした次第である。

 

水の循環

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箕面の滝

 箕面の滝への登り口はわが家から自転車で30分ほどの距離にある。そこから歩いて40分ほどで滝に到着。1万歩足らずで往復できるので、ときどき、滝を眺めに行くことにしている。昨年は台風のため一時、通行禁止になったが、今年も緑豊かな樹々の間を滝水が勢いよくほとばしりながら落下している。時折、水しぶきが飛んでくるのも心地よく、心身ともにリフレッシュされる。

 絶え間なく流れおちる水の動きを眺めていると、「水の循環」という言葉が頭に浮かぶ。この滝の水は箕面川-猪名川-淀川を経て大阪湾に注ぎ海水の仲間入りをする。海水は蒸発して空へ昇って雲となり、やがて雨や雪となって地上に戻る。この大循環が地球環境の維持にとても大切であり、大循環の中にある水の一場面を今、眺めていることになる。落下する滝水に途切れがないように、「水の循環」も途切れなく進行する。まさに、「ゆく川の流れは絶えずして もとも水にあらず」なのだ。

 水はわれわれの身体も通り道にしている。私たち成人の場合、身体から毎日、尿や便として約1.3L、呼気とともに0.4L、皮膚から汗などとして0.6L、全部で約2.3Lの水が出てゆき、それを食物から0.6L、飲料水として1.5L、身体の中の代謝反応からの0.2Lの水で賄っている。これらの水も「水の循環」の中にあり、私たちの命は、この循環に支えられているのだ。

 したがって、一日、1.5Lの飲料水を摂取することが健康保持には大切だけど、とくに身体は朝が一番水不足の状態にある。寝ている間に汗や呼気で体内の水は飛んで行ってるし、年寄りは夜中に頻繁にトイレにゆく。寝ている間は、そのわりに水を飲む機会が少ないので朝起きがけは水不足の状態にある。私は起きたらまずコップに2杯ほど水を一気に飲むようにしている。「そんなに飲めるの!」と家人は驚くが、朝の起きがけはスムースに飲むことができる。身体も水を欲している証拠だろう。

 水が大事だからといって、明日の分の飲みだめはできない。出てゆく分を毎日摂取する。こうすることによって身体が安定した様態を維持することができる。これは「恒常性の維持」と呼ばれていて、健康を意味する。そのためには、毎日、身体は必要な分だけ使い、必要な分だけ補給する。

 水に限らず、酸素も栄養分も必要な分だけを絶えず補う必要がある。これらは「恒常性の維持」のために本当に必要なものたちである。そして、どれもが「天地の恵み」である。あらためて「天地の恵み」の有難さに感謝しつつ、滝口を離れて帰路に着いた。

「関宿」逍遥

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関宿逍遥


 「関西近郊ローカル線の旅」を始めた。家内との二人三脚。ローカル線の定義は明確ではないが、一応、JRの地方交通線をイメージしている。ご存じの方もおられると思うけど、今の日本にはローカル線がすごく多い。新幹線が通ると、たくさんの支線がローカル線となる。しかも、”自立自走”などと言われると経営も大変だ。しかし、沿線には田園風景が多く残され、しかも中には意気軒昂な地方都市もある。あまり遠いところは難しいので、日帰りが可能な関西圏のローカル線の旅を楽しみながら地方で頑張っている都市や町を訪ねてみようと思っている。

 ということで、先日、大阪北摂のわが家から京都経由草津線・関西線で三重亀山の関宿を訪ねた。草津線の沿線は水田が広がりシロサギ・アオサギを多く見かけた。たいていは水田に佇んでいて、のんびり見えるけど、多分、必死にエサを探しているのだろう。何を食べているか調べたところ、どうやら標的はアマガエルのオタマジャクシらしい。アマガエルは田植えが終わると苗に卵を産みつける。6月中旬近くには卵から孵ったオタマジャクシが水田で泳ぎ始める。そのオタマジャクシを狙っているのだ。

 そんな車窓の風景を楽しんでいるうちに関駅についた。「鈴鹿の関」で有名な関の駅頭には「関宿重要伝統的建造物群」の標識があって、東西追分の間の約2kmの街道筋が昔の宿場の町並みをとどめている。なかでも、和樽や桶を造る「桶重」は4代目の親方が今も樽や桶づくりを続けていて、ぶらっと訪ねた私たちにも樽づくりの面白さ、難しさを話してくれた。木曽五木の ヒノキ・アスナロ(アスヒ)・コウヤマキ・ネズコ・サワラに秋田のスギが主要な材で贅沢な柾目どりで切り出される。においのきつい材は味噌や醤油樽には向いていないということだが、味噌・醤油・酒づくりに欠かせない麹菌や乳酸菌の住処に木材の材質はまたとない役割を果たしている。樽づくりの道具がいろいろ並んでいる。カンナひとつでも樽の大きさに合わせて様々なカーブをもったものが揃っていて、それらを適宜、使い分けながら作業を進めるという。

 その他にも旅籠、和菓子屋、酒屋(地酒は「鈴鹿川」)などの店やが並んでいて、それぞれ商売をするうえでの昔からの工夫がいろいろなされている。

 帰りは関西本線天王寺経由だったが、沿線の木津川沿いの景観は草津線以上の素晴らしさだった。6月初旬だったが、車窓を通して射し込んでくる夕日も肌に心地よく、景観を眺めながらの銘酒「鈴鹿川」の味わいはひとしおの感があった。ローカル線の旅は手作り感があり、折々に「天地の恵み」の素晴らしさを教えてくれる。しかも、特徴のある地方都市に接していると、われわれに「ひとそれぞれ、工夫して面白くやりなさいね」と語りかけてくれているようで元気をもらえるのが嬉しい。